地獄絵図。

地下鉄東西線は、サラリーマンの方が多く乗っているんです。 ここで問題なのが酔っぱらった、中年のサラリーマンのおじちゃんです。 かなりの確率で鼻を豪快に、それも堂々とほじっています。 僕が見ただけでも１０数回は目撃しています、東西線は「鼻ほじりオヤジ率ナンバ−１」の地下鉄に任命致します。 僕は、一回だけ被害者になりかけた事があります。 と言うのは、例の如く僕の隣に、ごく普通のおじちゃんが座ったと思ったら、早速酒臭かったので「やばいな〜」と思っていたんです。 すると、始めました。 恒例の行事「東西対抗、鼻ほじほじ、中野か？いや！西船橋が多いか？そんな事は知ったこっちゃない！ほじったもの勝ちさ、最後はピーンと遠くに飛ばして差し上げて！大会」が始まってしまったのです。 おじちゃんは、まさに電車の中が運動場の如くそれはそれは、「ウオーミングアップなんて１０年前に済ませてるぜ」の如く悠々と、人差し指を鼻の穴まっしぐら。 人差し指なんか最初から無いかったんじゃないの？位、鼻の穴に人差し指の全てを埋め込んでいました。 するとどうでしょう‥…、何かを穴からこそぎだしました。 それはまるで、金メダルを取り出すかの如くその顔は誇らしげで、例えるなら「どうさ！オイラの畑でとれた立派な大根は！一度みんなにも食べてもらいたい！」くらい堂々とていて、そんな顔つきに、もう圧巻です。 そして、なにがもう一つ圧巻かと言いますと、周りの人は驚きもせず「お〜、田中さん、今日も豊作ですな〜、うちのは明日くらいが収穫時期です〜、お互い頑張りましょう！」みたいな顔をしている事でした。 全く恐ろしい、東西線です。地獄絵図です。 そして、最も恐ろしい「指先コネコネ」までは良かったのですが、いや良くないんですが、さらに恐ろしい「ぴーんと飛ばせば、あんたが大将！」が始まってしまったのです。 オイラは隣にいます。 ピーンやったら、アレがアレな訳で、ハッキリ言ってオイラは死も覚悟です。 オイラは思わず席を立とうとしたのですが、満車のオーディエンスはそんな事は許してくれませんでした。 オイラは生き地獄と言うものを、経験して今日までここまでたどり着いて来ています。 さて、コネコネピーンの結果はどうなったのでしょう‥…。 この出来事が起きたのは夏でした、オイラは不運にもハーフの膝までのジーンズを履いてしまっていたのです。東西線がそんなに荒れているとも知りませんでした、ハッキリ言ってオイラの、情報収集不足です。 ハーフパンツのオイラはすね毛全開。 オイラは、何を恨んだかと言うと、オヤジでもなく、オーディエンスでもなく、自分のすね毛の濃さを恨みました。 あとは、モノがこっちに飛んで来ない事を祈るだけでした。 アーメン。 神様は存在しました。 東西線ビギナーズラック！ 生きて、東西線を降りる事を神は許してくださりました。 普段は、神の存在など気にした事もないオイラですが、この時はさすがに神が見えました。ハッキリと。 最後に世の中の鼻ほじりのプロに申し上げます、「家に帰って、ゆっくりほじってください‥…」　 以上。